こんにちは!デンマーク留学中の萩生田愛です。こちらに来てから早いもので1ヶ月以上が経過しました。環境にも慣れ、他の生徒たちとは家族のような心地よい関係になり、日々学んでおります。

私が滞在してしている学校は全寮制で全生徒が学校の建物の中に一緒に住んでいて、先生も学校の敷地内(建物は異なるが徒歩30秒のところ)に住んでいます。朝昼晩一緒に食事をして、一緒に学びます。

デンマークに来て驚いたことは、良い意味で「先生が先生らしくない!」ということ。全然偉そうじゃないんです。デンマークの全ての学校では、先生を「○○先生」と呼ぶことが禁止されていて、下の名前で友達のように呼びます。これは、デモクラシーを大切にするデンマークで生徒も先生も同じ目線に立つことを目的に何年か前に戦略的に「先生呼び」を禁じたそうです。

先生が大好きなことを教える(というか、ただシェアしている感じ)という、日本で感じたことのない感覚は、私にとってすごく新鮮でした。

例えば、私がとっているmindfulnessのクラスのニコライ(先生)は、デンマーク人ですが仏教徒です。いつも裸足で歩いているので何故なのか聞いてみると「この感覚が好きだから」だそうです。禅や仏教の概念について話している彼は子供のように純真で目が輝き好奇心と情熱に溢れています。この先生は、マインドフルネスのクラス以外にも、Self insightChess strategyというクラスも教えています。チェスの戦略って・・・趣味かい!と突っ込みたくなりますよね。笑 意外と人気のクラスです。

Anna(先生)は、料理とレストランと文学が好き過ぎて、大学の修士課程では「料理本を文学として読む」という論文を書いたそうです。レストランで10年間働いていた経験もありガストロノミー業界の現実も知っています。私は彼女の「Cooking book」というクラスをとっています。生徒たちが学びたいレシピを本に纏める授業なのですが、実際に皆で一緒に料理をして自分たちで美味しいと感じる材料や調味料の量を決めてレシピを作っていきます。スタイリングや、本にした時に大切なコンセプトや魅せ方なども同時に学んでいくので、示唆に富んだ興味深い授業だと感じます。驚くことに、全ての平等が整っていそうなこのデンマークでも料理の世界では性差別(Gender issue)が存在するようで、生徒の1人にGenderについて興味ある生徒がいたのである日のクラスでは料理業界に存在する男女の不平等についてディスカションしたりもしました。(日本の男女平等については改めて別のブログに書こうと思いますが、例えばデンマークの育休の制度は両親両方が2週間育休を取ることが義務付けられていて、更に8ヶ月は両親どちらかが育休を取得しても100%お給料が保証されます。税金が50%以上だからというのもありますが、総じて国民が安心して生活できる環境が整っているように思います。)

話を教育に戻しますが、先生が上(教える側)で生徒が下(教わる側)という印象が全くなく、一緒に楽しく学ぶ場を準備してくれるファシリテータのような役割だと感じます。クラスの中では、生徒がエクササイズを感じたことをシェアして、そこからお互いに学ぶスタイルです。後片付けももちろん生徒も含め皆で行います。日本で私が受けてきた教育とは180度異なると感じました。

私のお気に入りは、シェフのJan。デンマーク語でJは、や行で発音します。Jonはヨン、Janはヤンと読みます。全生徒と先生の朝昼晩の食事を作り、この学校の秩序を幸せを守っている存在です。Janは皆から愛されていて、いつも美味しい食事を作ってくれています。

ある日、私が日本とのミーティングがあるから朝食の時間よりかなり前にキッチンに行ってコーヒーを飲もうとしているとJanが来て「おはよう!今日は早いんだね」と声をかけてくれました。こんな早くからいつも準備してくれているんだなと感じつつ、日本とミーティングがあることを伝えると「腹が減っては戦はできぬ」的なことを言って簡単な朝食とコーヒーを出してくれました。感動して感謝を伝えると「Have a great meeting!」となんとも爽やかな笑顔で言ってくれました。その彼の笑顔から料理や人を喜ばせることに対する情熱を感じました。

また違う日にコーヒーにミルクを入れようとしていると「それはミルクじゃなくてヨーグルトだよ。(ミルクパックが空になっていたので)新しいミルクを持っくるよ」と言って持って来てくれました。朝食の時間、たくさんの生徒がダイニングに居て忙しいだろうに、こんなに細かいところまで目配り気配りができるって、彼の情熱とプロ意識を感じました。(Janは写真の右から2番目)


そう言えば、学校に着いて1週間目に先生やスタッフたちを知るための小さなイベントのような機会があり、(質問の内容は忘れましたが)「大切にしていることは?」的な質問に対しJanが「Whenever I talk with people, I have a little smile in my heart.」と答えていたことを思い出しました。料理を作って人を喜ばすことが彼の情熱で、料理を楽しむためには食事が美味しいだけじゃなくて、食べる人の気持ちや健康・精神状態、人間関係、そして皆が心地よく食事できる環境こそ大切なことも知っていて、その全てに責任を持っているように感じます。

デンマークでは、ビーガンやベジタリアンが多く、この学校でも食事には必ずビーガン・ベジタリアン・グルテンフリーのお皿も用意されています。食品ロスにもかなり配慮されてるというか力を入れていて、ビュッフェ形式で余ったものも他の料理として次回以降に出てきます。しかも美味しい。キッチンででた野菜の皮などは学校のキッチンガーデンの横のコンポストコーナーに持っていって循環されます。

パンも毎朝焼きたてのふわふわのパン。お昼はライ麦パン。デンマークではライ麦パンが日本人にとってのお米くらい大切な存在なのですが、私がこれまで他の国で食べてきたライ麦パンとはレベルが全然違いました。そして、Janがつくるビーガンのチョコレートマフィンは世界一美味しいのです!レシピと教えてもらったので、日本で作りたいと思います!

これを書いていて感じたのは、私は物事よりも、人の在り方や姿勢からインスピレーションや大切な学びを得ているということ。

久しぶりの更新というか、デンマークに来てから初めてのブログの更新なのに、まとまりのない内容になってしまいましたが、毎日充実して尊い学びの時間となっていることに感謝です。

最後に、学校内のダイニングホールはもちろん、教室、レセプション、オフィス、生徒のお部屋には必ず生花が飾られています。色を目で楽しむことを大切にしているのと、幼い頃から花を飾る文化の中で育つと自然とそうなるのかなと感じます。食事をするダイニングホールでは今日もJanの美味しい料理とカラフルなお花は私たちを喜ばせてくれます。

皆さんも素敵な1日を!