「母になっても、アフリカに行く」トークセッションを終えて。
写真家・桜木奈央子さんとの写真展(6/21-7/5)に伴い、六本木ヒルズ店にてトークセッションを開催しました。
2013年7月にケニアの薔薇農園で出会った奈央子さんとは5年以上のお付き合い。2019年に奈央子さんが再び薔薇農園に足を運んで撮りおろした写真は5年前のものから驚くほど進化していて、私は彼女の心境の変化や進化に至ったプロセスをじっくり伺えたのが良かったです。やはり写真は撮影する人の内面をダイレクトに表現するのですね。
お陰様で20名以上の素敵な方々にご参加いただき大盛況のトークイベントとなりました。なぜ私達はアフリカを選んだのか?、アフリカの魅力、薔薇農園で働くアリスの物語、母になってからの心境の変化、写真撮影の舞台裏、なぜ母になってもアフリカに行き続けるのか?など面白い内容になりました!
私は色々な場面でいつも対談を経験していますが、対談の後にはいつも大きな反省、そして気付きと学びがあります。
今回の対談の中で、終わった後もしっくりこないモヤモヤが残っていました。。。
【母になってからの心境の変化】の問いに対して、私はこう答えました。
「これまでは寝る時間以外は全てアフリカローズの事業に力を注いできました。人生をかけて私の全てのエネルギーを。アフリカローズは私にとって自分の命の次に大切な存在でした。子供が生まれてからは、自分の命よりも大切なものができたことで私の人生の中の優先順位が大きく変わり、こでまでは「自分の命→仕事」だったのが、「子供→自分の命→仕事」に変化しました。もちろん物理的にも家事や育児の時間が増えたことで実質仕事の時間は大幅に減りました。一方で、感情面では数段豊かになりました。」
この表現だと、まるでアフリカローズの優先順位が下がり、前よりも大切じゃなくなったかのように聞こえるではないか!!!全然そうじゃないのに!!!というモヤモヤが、トークイベント修了後にずっと残っていたのです。本当の私の気持ちを表現できた気がしていませんでした。
私の回答のあと、奈央子さんはフォローするように「確かに子供が小さいうちは大変だもんね。でも小学生になると子供もひとりで行動するようになるから、また変わってくるかもね!」と(奈央子さんのお子さんはもう小学生)。
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昔、ある人に言われた言葉があります。
【アフリカローズは美しいけど儚く見える】
打ち上げ花火のように一瞬でなくなってしまいそうな脆さ、儚さを感じる、と…。
私はものすごく悔しいと感じました。
これを言われたのは広尾にお店をオープンするずっと前。当時はひとりでアフリカの花屋を運営していました。
今では広尾と六本木ヒルズの2店舗に広がり、日本には14名のスタッフがいます。当時とは覚悟も状況も異なりますが、昔言われた言葉がふとした瞬間に頭をよぎるのです。
【アフリカローズは儚くない】
強く逞しく、どっしりと構えた安定感と揺るぎない美しい存在なのだ!
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確かに母親になる前の私は、自分の命を差し出していました。命と引き換えに時間とエネルギーを注ぐ生き様は、振り返ると、まさに必死さそのものでした。好きな事を自分の意思でやっていたのでエネルギーやパワーは内側から無限に湧いてきましたので、疲れたという感覚はありませんでしたが、まさに猪のように全力投球していて余裕や余力が全くない状態でした。たしかに今振り返ると、その必死さが脆く儚くもあったと思います。
もちろん今でも全身全霊で経営していますが、あの頃とは違うしなやかさや遊びの空間や余裕を大切にできるようになりました。
私が倒れたら事業もストップする、というシステムではなくなりました。
今では一緒に働く仲間、お客様や友人と一緒につくったお店、たくさんの応援してくれる方々がいます。確実に、以前の儚い存在ではなくなりました。継続するシステムや一緒に働いてくれる仲間の存在が、今ではあるのです。ちょっとやそっとでは吹き飛ばないような足腰の強さや安定感が大切だと思うようになりました。
そして母になったからこそ、今までのようなworkholic的な働き方を見直し、サステイナブルな存在で在りたいと心から思うようになりました。そしていつまでも素敵に働く姿を息子に見せたい、とか。
正直、家庭を持つ前は、「家庭の事情で仕事を早く切り上げる」という考え方を本当の意味では理解できていなかったのではないかと思います。もちろん頭では理解しているつもりでしたが、何処か心の奥で「仕事を途中で投げ出すなんて無責任だ。」と感じていた部分もあったと思います。自分にとっては、子供や親や何よりも優先順位の高い『アフリカローズ』という存在は、必ずしも他のスタッフにとってはそこまで優先順位の高い位置づけではないのです(もちろん大切に思ってくれていることは前提として)。
そんな当たり前のことを、今更はじめて気付きました。仕事よりも大切な『子供』という存在ができて初めて、そういう気持ちを体感したことによって。私も子供や家族との時間を大切にする分、一緒に働くスタッフにもそういう時間を大切にして欲しいと心から願うようになりました。
もちろん生花の薔薇と同じように、私たち人間には寿命があり一方で脆く儚い存在かもしれません。だからこそ、一瞬一瞬を大切に、強く美しい存在でありたいと思います。あの頃言われた「儚く脆いアフリカの花屋」は卒業できたかなと。
こんな感じのことが、本当に言いたかった私の心境の変化です!笑
今回も改めて大切なことに気づかせてもらった桜木奈央子さんとの対談。ありがとうございました!!!
7/5まで写真展は開催しています!写真も販売しています。是非お越し下さいね!