17時間かけてアフリカの大地から届く特別なバラがあります。
朝霧が太陽に輝き、夜は星を映す美しい湖のそばで、
半年かけて花を愛する人たちに育てられたバラ。
ゴスペルの流れる部屋で出荷を待っていた、
ひときわ大切にされてきたこのバラは、
育てた人、贈る人、贈られた人、誰をも幸せにします。
なぜなら、このバラには時の魔法がかかっているから。
「アフリカローズ 幸せになる奇蹟のバラ」(ポプラ社) の冒頭より
Episode0 奇蹟のバラとの出会い
2011年11月
ナイロビの街角にある小さな花屋さん。穴のあいたパラソルに、煤汚れたバケツ。色とりどりのカーネーションやユリ、アルストロメリア、カラー。そして、ひときわ輝いていたのが、バラ。
驚くような生命力と存在感を放っていました。
私は草月流活け花の師範のお免状を持っており、いろいろな花を見てきました。このバラは、私がこれまで見てきたバラとは全く異なり、大きな輪、太い茎、鮮やかな発色、そして繊細な模様。
花を売っている男性に聞いてみると、
「もちろんバラだよ!日本にはバラはないのか?笑」
「日本にもバラはあるけれど、こんなに大きくて色が素敵なのは見たことがないわ。」
「ケニアはバラの輸出量が世界1位なんだ!」
こんなに素敵なバラがケニアで??
…知らなかった。
半年間のケニアでのボランティア生活も終ろうとしている中、このままボランティアを続けるのか?もともと目指していた国連で働くのか?日本に帰国してケニアに来る前と同じ生活を送るのか?MBAや開発の修士号など学校に戻るのか?
7年間務めた会社を辞め、彼氏とも別れ、住んでいたマンションも解約し、覚悟を決めて来たアフリカ、ケニア。
約束の半年間が終った後の自分のキャリアや、ボランティア/支援/援助のあり方に疑問を感じでいた頃。この状況とどう向き合えば良いのか、手当たり次第、自分の中にある答えを求めていた頃。
澄みきった空の下、踊るような強い日差し、乾いた風。呼吸の「呼」から「吸」に変わり、過去が退き新しい潮が満ちていくよな瞬間。ケニアのバラを中心に私の世界が輝き始めたその瞬間をいまでも鮮明に憶えています。
「私はこのバラを輸入して、ケニアに雇用をつくるんだ。」
私の心の声が、小さいけれど確かな声が、はっきりと聞こえました。援助でもボランティアでもない「ビジネス」という平等な形で、貧困を解決したい!
バラで世界を変えるんだ!
そう決めた瞬間、何か大きなものが、もの凄い勢いで動き始め、私の人生は大きく変わろうとしていたのです。