YALIYOPITA SI NDWELE, GANGA YAJAYO
「過去は忘れて今を大切に」
USIWE NA WASIWASI
KWANI POLE POLE NDIO MWENDO
「心配することない、ゆっくり焦らずいこう」
HAKUNA MATATA
「問題ないさ」大丈夫、大丈夫、すべてうまくいくから。
ケニアにはたくさんの素敵なコトワザがあります。
これらの言葉通り、肩の力を抜いて「どうにかなるさ」とゆったり構えていると、不思議と何ごともうまくいくのです。
2011年7月、私はケニアの地に降り立ちました。
人類発祥の地、アフリカ大陸。
ずっと訪れてみたかった土地に、ようやく来ることができました!
ケニアでは、首都ナイロビから車で3時間ほど東にある村で、NGOの一員として貧困地域に小学校の教室を建設するボランティアをしていました。月曜日から金曜日までは、電気も水道もない村で現地の人々と同じ食事をして過ごす毎日。そして週末はナイロビに戻る生活です。
毎週月曜日の朝早くナイロビを出発し、1週間分の着替えやトイレットペーパーをバックパックに入れて村に向かいました。
髪は1週間洗えないので、ずっと「おだんご」に髪をまとめていました。ケニアは日差しが強いので日焼け止めは毎日塗っていました。
村の人々は井戸水で生活していますが、私はペットボトルの水で歯を磨くことにしました。それ以外は全て現地の人々と同じ生活です。
泊まる宿は1泊200円くらい。部屋に入ると4畳ほどの広さの部屋にベッド、蚊帳、そしてドラム缶の中には雨水が溜められていました。
村に着いた初日、もう日が暮れる頃でした。部屋に入ると真っ暗だったので、ベッドの下に虫がいないか、持参した懐中電灯で確認。ベッドが清潔かわからないので、布を体中に巻いて寝ました。トイレは水洗ではない穴のタイプのものが離れにありました。
正直とても不安になり、早速来た事を後悔しました。やっぱり上司の言う事をきいて、辞めない方が良かったのかな…そんな事をぼんやり考えながら、長旅で疲れていたので、すぐに寝てしまいました。
コケコッコー!鶏の声で目が覚めました。
破れたカーテンから朝日が差し込んでいました。昨日は暗くて見えなかったベッドの布団やシーツは清潔で、ほのかに石鹸の香りがしました。外に出てみると鶏が3羽くらい歩いていました。とても緑が豊で、空気が澄んでいたので深呼吸をしました。素晴らしい朝です。
その日はとても良いお天気で、近くのカフェに朝ご飯を食べに行きました。熱々のチャイ(ミルクティー)にMandazi(揚げパン)です。ケニア人にとって熱いチャイと揚げパンは最高の朝食です。両方で50円くらい。
「ニワトリの声で目が覚めるなんて、とても贅沢!しかも熱いチャイと揚げパンも最高!!」と一気にテンションが上がりました。
日本では味わったことのない新鮮な高揚感と、これから始まる旅のワクワク感が再び蘇って来ました。
ケニアの女性は、どんなに辛い状況であってもいつも笑顔なのです。
「泣いても笑っても状況は変わらないのなら、楽しく過ごす方がいいじゃない!」そう教えてくれます。
ケニア人に「Are you happy?」と聞くと、
(何でそんな当たり前のこと聞くの?)という顔をして「もちろん幸せに決まってる。自分も両親も健康で、家には屋根がある!」と答えます。
ケニア人の同僚の女の子にいいことがあった時に、「すごい!Good Job!You are lucky!」と声をかけると「神様のおかげよ。アーメン」と、自分の手柄ではなく、神様のお陰だと感謝するのです。
自分の収入もそんなに余裕がある訳ではないケニア人が、親戚に仕送りをしていると言うのです。親戚の方が、もっと貧しいから、と。
道を聞きたくて、ケニア人のおじちゃんに話しかけると「How are you? how is your sisters and brothers?」と私の家族や親戚一同の健康を気遣ってくれるのです。私もお返しにおじちゃんの健康と親戚の健康を確認して、10分ほど話して友達になると「ところで、何の用?」と道を教えてくれます。
私はケニアで、人々の繋がりや、ものごとに感謝することの大切さを学びました。私はこれまで屋根があることに感謝したことはありませんでした。屋根だけでなく、いま命があること、教育を受けられること、好きな仕事ができること、大切な人と一緒に時間を過ごせること。
その全てが、当たり前ではなく奇蹟なのです。
生きていれば嫌なことや大変なこともある。その時に怒って文句を言ったり、人のせいにしても何も変わらない。どうせなら人生楽しく、笑って過ごそうよ!そんなメッセージをケニア人からもらった気がします。
アフリカ、スペイン、アメリカ、ブラジル、オーストラリア、日本
これまで私は世界の5大陸の色々な国に住んでみたけど、けっきょく何処出身とか何人とか関係なく、心の持ちようが全てなんだと感じました。
どこに住んでいても、お金があっても心が貧しい人もいる、反対にお金はなくても心は豊かな人もいる。一番良いいのは、心が豊かでお金にも困っていないこと。お金はツールでしかないのだから!
でもやっぱり、ケニアには経済的な豊かさが必要。
「心が豊かなので問題ありません!」とこのまま帰る気にはなれないほどに、問題も沢山あることも確かでした。