DemocracyとHygge。
これはデンマーク人が最も誇りに思っていることだと感じます。
今日はDemocracyについて書きたいと思います。
デンマークでは何でも話し合いで決めます。
学校や先生がルールを決めて「はい、これがルールなので従ってください。」というスタンスはあり得ません。叩き台は学校や教師が作りますが、決定する前には必ず生徒が質問や改善案を提案し全員で話し合う機会が持たれます。
面白かったのは、アルコールポリシーを決めた時のことでした。
20代の若い学生が多いので、アルコールに関する決め事はとても大切。
アルコールをいつ楽しんで良いのか、パーティは平日もOKなのか?それとも週末だけに限られるべきなのか?授業中に飲んでもいいのか?そういうことを決める機会が持たれました。
大人な私は「そんなの自分たちの管理に任せれば良いじゃん。」というスタンスで遠くから見守っていましたが、ディスカションが面白かったので途中から私も加わりました。
まず、「酔っぱらうbeing drunk」と「お酒を飲むdrink」は分けて考えるべきだという話になりました。確かに、嗜む程度とベロベロになるのは大違いです。
各個人のモラルに任せてルールは特に設けない、という案も出ました。一生徒の立場から考えるとこれでも良いように思います。(実際に私はこの意見でした。)そこに学長先生が登場し、以前に学校のエントランスの1番目立つソファでランチタイムにビールを飲んだ学生が居て、ちょうどその時にお客さんが訪問しに来たそうです。学長先生はその時「やばい、学校のイメージが下がってしまう。」と感じたという話を共有しました。地域のボランティアの方が学校のお庭を手入れしていたり、様々な形で色々な人が関わっているので、イメージはとても大切です。(もちろん、昼間にお酒を飲んだからと言って特にどうも思わない人もいると思いますが、良く思わない人もいるだろう、ということもハイライトして発言していました。)
すると生徒が手を上げて「学校の評判を保つのはとても大切なことだし、学長先生の立場も尊重するべきだと思う。」と発言。
別の生徒が「授業中に酔っ払った生徒がいると内容に集中できないわ。前日の夜に飲みすぎて二日酔いの生徒がいるのも良いアイディアではないと思う。二日酔いで欠席するのは自由だけど、一方で他の生徒が居ることで授業の内容に深みが出たり学びが深くなる。お酒を飲むことでその機会を台無しにしたくないから、お酒は週末だけに限るべきた。」と発言。
「確かに授業は皆で作るものだね。その意見には賛成だけど、平日の夕方の授業が終わったあとにワインを1グラスだけ飲むのも禁止するべきかしら?」と他の生徒。
「ちょっといいかしら。私はお酒を飲まないから、ディスカションやルールの決定は、お酒を飲む皆に任せるわ。」
「でも、待って。お酒を飲まないからと言って議論を他の人に任せるのは得策ではないように思うよ。例えば平日の夜中の3時に他の生徒があなたの部屋の前に酔って大騒ぎをしたら、あなたは心地よく眠れないでしょう?」
「平日の授業が終わった後は各生徒のモラルに任せてアルコールは飲んでいいけど、皆が迷惑になる廊下や静かに過ごしたい人のために『アルコールフリーゾーン』(アルコール禁止エリア)を設けたらどうかな。」
そして哲学の先生が登場し、モラルとは何か?という短い説明がありました。
最終的に、平日の授業が終わった後は各自のモラルに任せて飲んで良いことになり、アルコール禁止エリアが設けられました。金曜の夜から日曜日の夜までは基本的にパーティしてOKだけど22:30以降はVegas(という名前のパーティルーム)以外では静かに喋る、ということに決まりました。
この内容で、とりあえず2週間やってみて、再び何を改善するか皆で話し合うみたいです。
アルコールポリシー1つ決めるのにも、こうして皆の立場をそれぞれが尊重し自分ごととして考え発言し、他の人の気持ちや意見も聞いた上で、自分たちでルールを決めるというプロセスはとても大切だと感じました。私は日本で学生の時にこのような議論をする機会はありませんでした。もちろん社会人になれば会社のプロジェクトチームの中でこのような議論は行われます。でも学生の時からこのように議論してルールを決める機会は、決断を人任せにするのではなく自分の頭で考えて自分の世界に責任を持つ人間になるための大切なステップだと感じました。
余談ですが、別の機会に、ミーティングをあと30分延長するかどうかについて25分かけて議論したこともありました。笑
それほどデモクラシーという、声を発する権利(right to be heard)はデンマークだけでなく、北欧諸国にとっては誇りであり大切なIdentityのようです。