「よく来たね~」
今は亡き曾祖母の言葉です。
所沢にある曾祖母の家に親戚中が新年2日に集まるのが習慣でした。
自宅から2時間程もかからない距離なのに、私たち家族が行くたびに
笑顔で顔をクシャクシャにして、私の顔を両手で撫でながら、
「めぐちゃん、よく来たね、よく来たね」
と何度も何度も、嬉しそうにうなずくのです。
何歳になったとか、身長は伸びたとか、
どの教科が得意だとか、小学生の私はそれ以外の会話はなく、
他の従兄弟たちとはやく外で遊びたい気持ちの方が大きかったことを憶えています。
新年が明けて、2週間振りにケニアから薔薇を入荷しました。
それはエネルギーと生命力に満ちていて、艶やかでつややか。
待ちわびていたと意識していた訳ではないけれど、対面した瞬間、どんなに恋しかったを実感しました。
「わ~!!!よく来たね~!!!!!」
心でつぶやいた言葉は、実際に言葉として発していました。
その時、ふと曾祖母の言葉を思い出しました。
尊い、可愛くて仕方ない、待ち遠しい、
「会えて嬉しい」を通り越した感動、そんな気持ち。
人やものを愛おしいとおもう気持ち。
この瞬間が尊いとおもう気持ち。
「楽しい!!最高!!」という刺激的な満足感とはまた違う
穏やかで、落ち着いていて、温かい、確実な幸せを自分の内側に感じたのです。