ケニアの農園との出会い

 
ケニアの首都ナイロビから車で北西に100km(約2〜3時間)走った高地に、ナイバシャ湖という大きな湖があります。その湖のほとりには大小いくつものバラ農園があります。その中のひとつのバラ農園との出会いのお話。
 
 
 
 
時は2011年12月、クリスマスムードも高まりホリデーを目の前に浮かれ気分のケニア人の友人たち。
半年間のボランティアプログラムはもうすぐ終止符を迎えようとしている中、さて、私はこれからの進路どうしよう…そんなことを考えていました。
 
日本で就職するのか、またケニアに戻るのか、イギリスに開発学の修士号を取りに行くのか、国連で働くのか。
沢山の選択肢がある中で、初めてケニアのバラに出会った時の強烈な印象や驚きは色褪せるどころか、益々ケニアのバラの魅力を知りたいと感じる自分がいました。
 
ケニア人の友人が、「バラはナイバシャ湖でたくさん生産されているんだよ。」と教えてくれました。
Lake Naivasha。ナイロビから2〜3時間の高地にある湖です。
 
「ナイバシャに行ってみようかな。」
 
ふと、そう思いましたが、残りのケニアの滞在時間は1ヶ月を切っており、国連の採用試験を受ける準備や他の国際NGOを見学させてもらうスケジュールが立て込んでいて、滞在中は結局ナイバシャに行く機会がないまま日本に帰国しました。私の中では、まだ「バラ輸入のビジネスを始める!」と決めた訳ではなく、他の選択肢の可能性も探りつつ、最後のケニア滞在期間を満喫したいという思いの方が強かったと今では振り返ります。
 
 
無事にケニアでの半年間のボランティア期間を終えて日本に帰る途中、様々な出会いとインスピレーションがありました。
 
そんなこんなで、日本に向かう飛行機の中では、ケニアのバラをビジネスにするには?というテーマで帰国後のアクションプランを書いていました。
 
 
そのリストの項目の1番上にあったのは「バラ農園をみつける」。
 
 
帰国して、農園探しで初めて訪問した場所は、JETROの図書館でした。ケニアのバラ関連の本や資料を調べて、その中にいくつかのバラ農園の連絡先が書かれていました。書かれている全てのバラ農園にメールを送ってみましたが、返信なし。
 
続いて訪問したのはケニア大使館。今は定年を迎え退職されましたが、とても親切に対応してくださいました。ケニアの花の連合会のような組織を紹介してくださり連絡を取ってみました。農業省(日本では、農林水産省のような機能)の方にも繋がりました。連絡したいくつかの農園からお返事が来ましたが、取引が難しいようでした。電話もしてみましたが、待機中の音楽が鳴ったと思ったらプツッと切れてしまったり。。。なかなかスムーズにコミュニケーションが取れません。
 
ケニア帰国からもう3ヶ月以上が経っており、前に進まないもどかしさを感じつつ、どうすれば良いのか悩んでいました。もう諦めた方が良いのか…そんな時に、ふと思い浮かんだ方がいました。ケニア滞在中にとてもお世話になった方。
 
その方に相談してみたところ、バラを栽培している知人がいるから紹介しましょうか?と、繋いでくださったのです!!
諦めかけていた矢先の奇蹟でした。
 
1)児童労働がないこと
2)従業員が健やかに働いていること(搾取されていない「フェアトレード」)
3)環境に配慮された栽培をしていること
 

この条件が揃っていることを確認した上で、月500本から輸出してくれることになったのです。

 
まずは、試しに2500本輸入してみました。初めてのバラ輸入です。この時の記事はこちら
 
 
空港にバラを受け取りに行った時、「本当に遠いアフリカからバラが届いた!」と感動したことを今でも憶えています!
そして、さっそく現地にいって、どんな環境で生産者が働いているのか?本当に児童労働はないのか?本当にフェアトレードで環境に配慮された栽培方法なのか?自分の目で確かめに行きました。

 

 
 
 
 
 
 
 
 
働いている生産者の8割は女性でした。
「途上国において、女性の経済的自立はとても大事」そんな価値観で経営をしているケニア人の農園経営者です。
 
バラ農園のグリーンハウスの中には広い広い敷地があり、ひとつの区画に1人の女性が担当しています。
苗植えから収穫まで約5ヶ月間かかります。その間、毎日毎日バラのお手入れをして、愛情を込めて我が子のように育てているのです。
 
 
収穫したバラの葉を落としたり、長さを揃えて花が傷つかないようにボール紙が花を覆う作業をしている部屋ではゴスペルの歌が流れています。
ケニア人の8割はキリスト教徒なので、食事の前には必ず神様に感謝してアーメンと言って食事を始めます。
そんな彼女たちにとってゴスペルは元気や感謝の源のような存在。そのゴスペルを聞きながら、鼻歌まじりに、笑顔で作業をしているのがとても印象的でした。
神々しい雰囲気、そんな言葉がまさにピッタリです!
 

 
輸出用にバラが箱に詰められます。1箱に250から300本のバラが入っています。
バラ農園からトラックでナイロビの空港に運ばれ、飛行機に乗って、17時間かけて遠いアフリカから遥々日本に届くのです。
 
 
 
こちらのバラ農園との提携を始めて、今年で8年になりました。
コロナでケニアの飛行機がストップしてしまい、輸入ができなくなった期間もありました。
コロナ期間、「私にできることある?」と聞いたところ、「Just pray. (ただ祈って)」という返信に無力感を感じた時期もありました。
 
いま、目の前のできることに集中しよう!チームメンバー全員と話し合い、できることに集中しました。
お互いサバイブできたのは奇跡です。
 
2020年9月9日から、ケニアのバラ輸入が再開した時には本当に嬉しかったし胸が熱くなりました。
南米や日本のバラもとても素敵だけど、やっぱりケニアのバラが1番!!!
スタッフ一同、同じことを感じた体験となりました。
 
毎年開催しているケニアのバラ農園ツアー。
今年はコロナで中止になってしまいましたが、ぜひ近い将来またお客さんやスタッフや家族と一緒に訪れたいです。
 
これまで沢山の奇跡と幸せと愛情を運んでくれて本当にありがとう!
そして、これからもよろしくお願いします。
 
「与えるだけの援助や支援でなく、対等な立場で共に助け合い成長していきたい。」
 
アフリカローズを立ち上げる時、NGOではなくビジネスに拘ったのは、上記の理由からです。
生産者との関係性だけでなく、スタッフと会社、お客様とお店の関係も対等でありたいという思想が表れています。
アフリカローズのコア・バリューである『アフリカローズの12個の約束』はスタッフ18名全員で紡ぎだしました。
 
 
現在2000名の生産者が雇用されているバラ農園。生産されているバラの殆どは欧州に出荷されているため、日本のAFRIKA ROSEが雇用できている人数ってどれくらいなんだろう?
厳密には何名という計算がしにくいけれど、きっと20名くらいなんじゃないかと思います。
 
今は年間10万本くらいと日本に輸入しています。
これを月間10万本にすれば、理論上は200名くらいの雇用を増やせることになるので、それに向けて頑張りたいと思います!
 
 
ぜひ、皆さんも大切な人にはAFRIKA ROSEのバラ。記念日でも何でもない日にもAFRIKA ROSEのバラをプレゼントしてね!
大切な人に感謝や愛情をきちんと伝えるって、ちょっと照れくさいけど、とっても気持ちいいこと!
 
 
皆さんの周りの大切な人が愛情と幸せで満ち溢れますように!!!